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形成外科・美容外科・皮膚科

形成外科ってどんな科?(2)

みなさんは“形成外科”という科をご存知ですか?

アメリカなどでは日本で言う内科、外科のように誰でも知っている診療科ですが、 日本ではまだ馴染みの浅い科で、一般の方には今一歩何をやっているのか知られて いないのが実情です。



一言で言えば、形成外科は、主に体表面の外科、一言で言えば“見た目(外観)を 治す科”です。整形外科と形成外科はまぎらわしい言葉で混同されますが、 整形外科は主として骨、関節の外科です。また美容整形もややこしい言葉ですが、 いわゆる美容外科のことで目を二重にしたり、鼻を高くしたり、しわをとったりする、美容目的で保険の効かない病気を専門にしている外科で、形成外科の一分野になります。形成外科で取り扱う項目は、次のように分類されます。



 ・熱傷(やけど) 

 ・顔のケガおよび骨折 

 ・顔の先天奇形・発育異常:口唇裂(みつ口)、口蓋裂(狼咽)

 ・手足のケガ、先天奇形:手足の骨折、切断肢指の再接着 

 ・その他の先天奇形:眼瞼下垂、副耳、出べそなどの手術 

 ・母斑、血管腫、良性腫瘍、皮膚がん 

 ・瘢痕(きずあと)、ケロイド

 ・手術後の組織欠損・変形:乳がん手術後の乳房再建なども含む 

 ・難治性潰瘍、褥瘡(床ずれ)

 ・美容外科 

 ・その他:いろいろ



以上のように、頭のてっぺんから足の先まで全身にわたり、いろいろな疾患を取り扱っているのです。おのずから外科はもちろんのこと、整形外科、耳鼻科、皮膚科などと 重複している領域もかなりあり、全身の解剖はもちろんのこと、いろいろな知識が要求されます。私の在籍していた医局では、前任の教授が日本の形成外科の草分けであったこともあり、“形成外科を志すものはすべての診療科に精通していなければならない”とのお考えから形成外科のほかにも内科、小児科、皮膚科、消化器、循環器、呼吸器を含めた一般外科、整形外科、麻酔科、救急医療などを研修しました。 (研修医の頃は、これがいやでたまらなかった時期もありましたが、今自分で開業して みると、このことがプライマリ-ケア医にとっても貴重な財産になっています。)


 昔は、どんな手術でも外科だけでおこなっていました。今でも田舎へ行くとそういう地域もあります。しかし、医学が進歩し何でも1つの科でおこなうことが難しくなってきて、専門科が生まれてきました。 また以前は、傷を治すのもただ傷がくっつけばいいと考え方が主流でした。 今でもそのような考え方が残っていますが、きずあとが大きな悩みになっている方も たくさんおり、当院にも多くの患者さんがみえられます。


 以前勤務していた病院でも、女性やお子さんが顔をケガしてもほとんどの方は、 一般の外科で縫合や処置を受け、その後のアフタ-ケア-を受けずに大きなきずあとが残り、あとから形成外科を受診する方があとを絶ちませんでした。知らないとは恐ろしいことで形成外科が空いていて、外科がどんなに混雑していても患者さんは外科で何時間でも待っていました。形成外科=美容外科=保険が効かないという誤ったイメ-ジが、一般の患者さんには、私が思うより深く浸透していると感じました。 勤務医の頃はそんなことを大きな声で言うと外科の先生に怒られてしまうので(形成外科で外科の患者さんを横取りしたということになってしまう)言えませんでしたが、一度形成外科を受診したことのある患者さん達は、少なくともケガやきずのことでは、外科へは行かなくなりました。しかし、形成外科学会認定医という資格を持っている専門医はまだ少なく、全国で約1000人強で、形成外科を標榜している大学病院も 3分の2程でまだまだ知られていないのが実情です。 けがや手術でできたきずあとは、消しゴムで消したように完全に消すことは現在の医療技術では不可能ですが、目立たないきずあとにすることは可能なのです。


 私は、きずあとを治すということは外見上きれいにするということより、 その人の心にあるコンプレックスというきずあとを治すことだと常々考えています。特に、小さなお子様が負ったきずを適当な処置で済ませ、きずあとが残ったら、それは お子さまの心に大きなコンプレックスをに残すことになるのです。 また、“形成外科”という科目を少しでも多くの方に啓蒙していくことも、私のこれ からのライフワ-クの1つと考えております。


 

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